カエル先生「髙橋宏和」のウフフ健康コラム vol.1「睡眠に勝る風邪薬なし」

カエル先生「髙橋宏和」のウフフ健康コラム vol.1「睡眠に勝る風邪薬なし」
ufufu.tv医療情報担当のカエル先生こと高橋宏和です。普段は都内と千葉県の病院で医者として働いています。
医療や健康に関するウフフな役立ち情報をお届けします!
まずは結論から。
風邪のときはひたすら寝る。睡眠に勝る風邪薬なし。
ついでに
体調管理も仕事のうち。1日無理して3日倒れるより、半日休んで早めに復帰。
というわけで以下解説。
1.風邪に抗生剤は不要
風邪の8-9割はウイルスによるものです。抗生物質、抗生剤は、ウイルスよりももっと大きな細菌には効きますが、ウイルスには効きません。
もしほんとに風邪なら、抗生剤飲んでも効かないので、副作用のリスクを増やすだけです。
2.風邪薬では風邪は治らない
市販の風邪薬や病院で処方される風邪薬には、風邪そのものを根本から治す力はありません。症状を緩和するだけです。
病院でよく処方される風邪薬に「PL顆粒」がありますが、PL顆粒の成分はサリチルアミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩。
サリチルアミドとアセトアミノフェンは熱を下げ、痛みを抑える効果があります。無水カフェインは精神的な不快感を取り除く作用、プロメタジンメチレンジサリチル酸は鼻水などを抑えつつ、サリチルアミドとアセトアミノフェンの効果を強めます。いずれの成分にも、風邪のウイルスをやつける作用はありません。
ただ、症状を緩和するだけでも楽にはなるので、薬を飲む意味がないわけではありません。
問題は、風邪薬を飲んで症状が緩和されたからといって、風邪そのものが治っているわけではないということです。
3.風邪の根本治療は自己回復。そのためには寝る、寝る、寝る。
風邪薬には症状を表面上おさえる力しかありません。
風邪を根本から治すにはひたすら寝る。どんな風邪薬よりも、どんな民間療法よりも睡眠が一番効きます。15分でも30分でもいいからとにかく寝る。あとまわしでよい仕事は全部あとまわしにしてひたすら寝る。風邪をひいたら睡眠の確保をなによりも最優先にしてください。
4.病院にいくのはどんなとき?
若くて持病がなくて、症状が軽いときは病院に行かなくても大丈夫。とにかくがっつり睡眠をとってください。ゴホゴホと咳をしている人がたくさんいる病院の待合室で何時間も待つより、自宅の布団の中でひたすら寝るほうが絶対によいです。
ただ、熱が39度以上あるとき、黄色や緑色のどろどろの鼻水がバンバン出るとき、のどの痛みが激しいとき、咳が激しくて寝てられないときにはぜひ病院受診を。
65歳以上のかたや、なにか持病があるかたは念のため病院受診をお勧めします。
風邪やインフルエンザが流行る冬の時期、みんなでウフフと乗り切りましょう!
参考サイト)日本呼吸器学会「かぜ症候群」
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=2
総合感冒薬PL配合顆粒添付文書
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057760.pdf#search=%27pl%E9%85%8D%E5%90%88%E9%A1%86%E7%B2%92%27

1992年麻布高校卒。1999千葉大学医学部卒、医師免許取得。神経内科医として同大附属病院、成田赤十字病院、下都賀総合病院、松戸市立病院に赴任。2008年千葉大学医学部大学院卒業。医学博士号取得。また医者という立場でありながら2008年松下政経塾に入塾し、「医療体制の再生/科学技術による高齢化社会の克服」について、実践的な研究・政策提言活動を行なう。2011年卒塾後は、松戸神経内科(千葉県)およびJCHO東京高輪病院で診療活動を行いながら、地域医療に関する講演活動などを行っている。著書に『松下政経塾 講義ベストセレクション 地方自治編』(共著)や、『3分診療時代の長生きできる受診のコツ45』(世界文化社)などがある。
2017年1月より月1回「渋谷クロスFM」に出演。
ブログ「カエル先生・高橋宏和ブログ」http://hirokatz.hateblo.jp/も更新中。